TCFD提言に基づく情報開示

気候変動に関するコメダの考え方

コメダは、“くつろぐ、いちばんいいところ”をお客様に提供し続けるため、地球環境への配慮と社会課題の解決に取り組んでいます。2020年3月に、「気候変動への対応」 を含む13のマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

TCFDへの対応

TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿って「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」 について以下のとおり開示します。

ガバナンス

コメダでは、気候変動への対策を、全社を挙げて取り組むべき重要課題としております。代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ委員会」では、事務局であるコーポレートコミュニケーション部が各事業本部と連携して、気候変動への対策を含むサステナビリティ活動に関する目標設定や進捗状況のモニタリング、達成内容の評価等を行うことで、さまざまな施策を継続的に実施しています。

戦略

TCFDガイダンスの推奨(2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮し、組織戦略の強靭性・弾力性を記述する)に基づき、国際エネルギー機関(IEA)をはじめとする国際機関が公表する複数のシナリオや政府発行資料などを参考に2050年の世界観を作成しました。

2℃未満の世界観

2050年までの「ネットゼロ」達成に向けて、脱炭素に取り組む企業が評価され、取り組みが不十分な企業は淘汰される社会になると想定されます。炭素税の導入や、排出の規制強化により、サプライチェーン全体でネットゼロを目指す企業が増加していく中、特に主要原材料であるコーヒーにおいては、生産者や生産履歴が見える化されており、SDGsに即した原材料のニーズが高まるため、サステナブルな商品開発や、持続可能な調達による製品ラインナップの拡充が求められると想定しています。コメダでは「くつろぐ、いちばんいいところ」という価値を提供するブランドとして、コーヒー豆の分散調達や代替コーヒーの導入だけでなく、コーヒー以外では顧客嗜好に合った、環境へ配慮したサステナブルな商品や、健康需要に沿った製品・サービスを開発することにより、持続的な事業の成長の実現を目指します。

4℃の世界観

化石燃料への依存が続き、大量消費、大量廃棄が継続する世界が想定されます。
気温上昇の影響により、2050年にアラビカ種の栽培に適した産地が50%減少するコーヒーの2050年問題が現実化すると、南アメリカ、アフリカ、アジアにおけるコーヒー生産量が減少し、世界的な生産量が現在の30%以下となり価格が高騰する可能性があります。さらに、世界的な人口増加に伴う需要の増加により、小麦や乳製品など、原材料の調達コストは上昇すると想定されるため、気候変動に対応した新しい産地の開拓や代替コーヒーの導入、コーヒー以外の製品開発を収益機会ととらえたうえで新たな製品・サービスを検討します。また、自然災害の激甚化、頻発化が予測される中、国内の店舗や工場の水没リスク、操業停止リスクなど予測される様々なリスクに対し、強靭性・弾力性のあるサプライチェーンの構築やサステナブルな店舗開発などを通して、リスクの軽減を図ります。

気候変動によるリスク・機会

2℃および4℃将来シナリオに基づき想定されるリスク・機会を特定し、特に事業への影響が大きい項目については可能な限り定量評価を実施するとともに、定量評価が難しい項目については定性情報で財務影響を試算しました。試算結果を基に、継続的に対応策を検討・実行するとともに、より精緻なリスクと機会の定量・定性的な把握に努めていきます。

分類 リスクの分類 リスク項目 時期 影響度
移行リスク 政策・法規制 エネルギーコストの高騰(光熱費) 中期
長期

移行リスク 政策・法規制 エネルギーコストの高騰(物流費) 中期
長期

移行リスク 政策・法規制 炭素税の導入 中期
長期

移行リスク 政策・法規制 脱プラスチックへの対応 中期
長期

移行リスク 市場 環境意識への高まりへの適応不足 中期
長期

物理リスク 慢性 原材料調達コストの高騰(コーヒー豆) 中期
長期

物理リスク 慢性 原材料調達コストの高騰(小麦等) 中期
長期

物理リスク 急性 台風やゲリラ豪雨などの被害 中期
長期

分類 機会の分類 機会の項目(大分類) 時期 影響度
機会 製品・サービス コーヒーだけではないくつろぎの提供 中期
長期

機会 市場 環境意識への高まりへの適応 中期
長期

機会 レジリエンス コーヒー豆の調達方法多様化 中期
長期

機会 レジリエンス 環境配慮型店舗の推進 中期
長期

機会 レジリエンス 店舗で提供する食材の高付加価値化 中期
長期

注釈
・財務影響の前提となるシナリオについて、移行シナリオは1.5℃シナリオ(IEA NZE 2050)を中心に検討するとともに、気候変動シナリオはIPCの2℃(RCP2.6)、4℃(RCP8.5)を参照しました。それぞれのシナリオに基づいて想定されるリスクと機会を把握し、事業への影響度について定量・定性評価を実施しています。

リスク管理

コメダでは、気候変動によって受ける影響を把握し評価するためシナリオ分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。気候変動への対策は年初に事業部ごとに目標を設定し、月に1回報告会を実施。事務局となるサステナビリティ委員会が取り組みを評価・管理し、案件に応じて四半期に1回取締役会への報告・提言を行っています。また、顕著化したリスクに関しては、リスク・コンプライアンス規程に基づき、リスク対策委員長及び事務局へ報告し、対策を検討します。

指標と目標

コメダでは、気候変動への対策として、CO2排出量(スコープ1・2・3の合計)を2030年度(2031年2月期)には2015年度対比50%削減、2050年度に実質ゼロを目標として掲げています。 目標達成に向けた取り組みを推進するため、基準年となる2015年度と2022年度のCO2排出量(スコープ1・2・3)の算定をおこないました。

2022年度のCO2排出量
()内は基準年である2015年度対比です。

項目 排出量(tCO2) 対象範囲
スコープ1 2,963
(133.2%)
直営店舗、工場、事務所のガス、営業車のガソリン、物流で使用するドライアイス、空調や冷媒のフロンガス
スコープ2 4,416
(198.3%)
直営店舗、工場、事務所の電気
スコープ3 133,975
(131.4%)
FC店舗含むサプライチェーンにかかわる排出量

※海外店舗含む

国内直営店のCO2排出量

CO2排出量削減の取り組み

店舗数の増加により総排出量は増加していますが、直営店や工場では再生可能エネルギーの導入を推進しており、国内直営1店舗当たりのCO2排出量は2015年度対比で約39%削減しています。今後も、各拠点での節電に向けた取り組みや、さらなる再生可能エネルギーの導入、太陽光パネルの設置などを推進していきます。
また、スコープ3算定の精度を向上させ、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減のための取り組みも進めていきます。

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