TCFD提言に基づく情報開示

気候変動に関するコメダの考え方

当社グループは、“くつろぐ、いちばんいいところ”をお客様に提供し続けるため、地球環境への配慮と社会課題の解決に取り組んでいます。2020年3月に、「気候変動への対応」 を含む13のマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

TCFDへの対応

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿って「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」 について以下のとおり開示します。

ガバナンス

当社は、気候変動への対策を、全社を挙げて取り組むべき重要課題としております。 代表取締役社長が委員長を務める「サステナビリティ委員会」では、事務局であるサステナビリティ推進部が各事業本部と連携して、気候変動への対策を含むサステナビリティ活動に関する目標設定や進捗状況のモニタリング、達成内容の評価等を行うことで、さまざまな施策を継続的に実施しています。
当委員会には取締役に加え、社外取締役(監査等委員)も委員として関与し、社内外の視点から助言を受けています。
また当社では、2024年2月期より取締役の業績連動型株式報酬の一部にCO2削減についての評価指標を導入しました。対象取締役の業績との連動性を高めることにより、サステナビリティに関する取り組みをより一層推進します。

戦略

TCFDガイダンスの推奨(2℃以下のシナリオを含む異なる気候関連のシナリオを考慮し、組織戦略の強靭性・弾力性を記述する)に基づき、国際エネルギー機関(IEA)をはじめとする国際機関が公表する複数のシナリオや政府発行資料などを参考に2050年の世界観を作成しました。

2℃未満の世界観

2050年までの「ネットゼロ」達成に向けて、脱炭素に取り組む企業が評価され、取り組みが不十分な企業は淘汰される社会になると想定されます。炭素税の導入や、排出の規制強化により、サプライチェーン全体でネットゼロを目指す企業が増加していく中、特に主要原材料であるコーヒーにおいては、生産者や生産履歴が見える化されており、SDGsに即した原材料のニーズが高まるため、サステナブルな商品開発や、持続可能な調達による製品ラインナップの拡充が求められると想定しています。当社グループでは「くつろぐ、いちばんいいところ」という価値を提供するブランドとして、コーヒー豆の分散調達や代替コーヒーの導入だけでなく、コーヒー以外では顧客嗜好に合った、環境へ配慮したサステナブルな商品や、健康需要に沿った製品・サービスを開発することにより、持続的な事業の成長の実現を目指します。

4℃の世界観

化石燃料への依存が続き、大量消費、大量廃棄が継続する世界が想定されます。
気温上昇の影響により、2050年にアラビカ種の栽培に適した産地が50%減少するコーヒーの2050年問題が現実化すると、南アメリカ、アフリカ、アジアにおけるコーヒー生産量が減少し、世界的な生産量が現在の30%以下となり価格が高騰する可能性があります。さらに、世界的な人口増加に伴う需要の増加により、小麦や乳製品など、原材料の調達コストは上昇すると想定されるため、気候変動に対応した新しい産地の開拓や代替コーヒーの導入、コーヒー以外の製品開発を収益機会ととらえたうえで新たな製品・サービスを検討します。また、自然災害の激甚化、頻発化が予測される中、国内の店舗や工場の水没リスク、操業停止リスクなど予測される様々なリスクに対し、強靭性・弾力性のあるサプライチェーンの構築やサステナブルな店舗開発などを通して、リスクの軽減を図ります。

気候変動によるリスク・機会

2℃および4℃将来シナリオに基づき想定されるリスク・機会を特定し、特に事業への影響が大きい項目については可能な限り定量評価を実施するとともに、定量評価が難しい項目については定性情報で財務影響を試算しました。
財務影響の前提となるシナリオについて、以下のシナリオに基づいて想定されるリスクと機会を把握し、事業への影響度について定性・定量評価を実施しています。


<想定した世界観> <分析に使用したシナリオ>
2℃未満の世界観 IEA(国際エネルギー機関)NZE 2050
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)RCP2.6
4℃の世界観 IEA(国際エネルギー機関)WEO 2022
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)RCP8.5

試算結果を基に、継続的に対応策を検討・実行するとともに、より精緻なリスクと機会の定量・定性的な把握に努めていきます。

分類 リスクの分類 リスク項目 時期 影響度
移行リスク 政策・法規制 エネルギーコストの高騰(光熱費) 中期
長期

移行リスク 政策・法規制 エネルギーコストの高騰(物流費) 中期
長期

移行リスク 政策・法規制 炭素税の導入 中期
長期

移行リスク 政策・法規制 脱プラスチックへの対応 中期
長期

移行リスク 市場 環境意識への高まりへの適応不足 中期
長期

物理リスク 慢性 原材料調達コストの高騰(コーヒー豆) 中期
長期

物理リスク 慢性 原材料調達コストの高騰(小麦等) 中期
長期

物理リスク 急性 台風やゲリラ豪雨などの被害 中期
長期

分類 機会の分類 機会の項目(大分類) 時期 影響度
機会 製品・サービス コーヒーだけではないくつろぎの提供 中期
長期

機会 市場 環境意識への高まりへの適応 中期
長期

機会 レジリエンス コーヒー豆の調達方法多様化 中期
長期

機会 レジリエンス 環境配慮型店舗の推進 中期
長期

機会 レジリエンス 店舗で提供する食材の高付加価値化 中期
長期

リスク管理

当社では、気候変動によって受ける影響を把握するためのシナリオ分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。
気候変動への対策は期初に事業部ごとに目標を設定し、月に1回役員への報告会を実施。事務局となるサステナビリティ委員会が取り組みを評価・管理し、案件に応じて四半期に1回取締役会への報告・提言を行っています。
また、気候変動リスクをグループ全体のリスクとして捉え、リスク対策委員会がそのリスクマネジメントを行っています。
当社のリスク対策委員会は、リスク・コンプライアンス規程に基づき代表取締役社長を委員長とし、委員長が選任する委員によって構成される社長直轄の組織であり、管理本部総務部を事務局としてグループ全体のリスクの把握・評価・予防、発生時の対応・再発防止に努めています。

指標と目標

当社では、気候変動への対策として、CO2排出量(スコープ1・2・3の合計)を2030年度(2031年2月期)には2015年度対比50%削減、2050年度に実質ゼロを目標として掲げています。 目標達成に向けた取り組みを推進するため、2023年度のCO2排出量(スコープ1・2・3)の算定をおこないました。

2023年度(2024年2月期)のCO2(t-CO2)排出量
()内は基準年である2015年度対比です。

項目 排出量
(t-CO2)
対象範囲
スコープ1 2,995
(134.7%)
直営店舗、工場、事務所のガス、営業車のガソリン、物流で使用するドライアイス、空調や冷媒のフロンガス
スコープ2 3,168
(142.3%)
直営店舗、工場、事務所の電気
スコープ3 142,466
(139.7%)
FC店舗含むサプライチェーンにかかわる排出量

※海外店舗含む

売上当たりのCO2排出量

CO2排出量削減の取り組み

再生可能エネルギーの導入

当社グループでは、脱炭素社会の実現に向けて2024年2月期末現在、再生可能エネルギーを18拠点へ導入しています。これにより、当社グループのスコープ2における使用電力のうち、再生可能エネルギーの割合は47%となりました。

太陽光パネルの設置

千葉工場・関東コーヒー工場へ太陽光パネルを2023年10月に設置しました。 これにより46tのCO2排出量を削減しました。両工場では、太陽光発電に加え、再生可能エネルギーも導入したことで、使用する電気の100%再生可能エネルギー化を実現しました。

コメダの森 保全活動

CO2排出量の削減だけでなく、CO2を吸収する森林の保全活動にも力を入れています。 店舗の内外に木材を多く使用する当社グループだからこそ、森林を守り育てていく必要があると考えています。2017年から、三重県菰野町の企業の森活動に参画し、「コメダの森」にて当社グループの社員が保全活動に取り組んでいます。近年ではお客様やFC加盟店もコメダの森を訪れ、社員とともに間伐や植樹をしています。
この活動によるCO2吸収量は2023年の1年間で約55t-CO2であることが分かりました。

プラスチック削減への取り組み

適切に処理されなかったプラスチックごみによる海洋汚染の防止や、製造や焼却時に出るCO2排出量削減を目的にプラスチックの削減を推進しています。
持帰り容器・ストロー・食品包材・物販商品の包材をバイオマスプラスチックへの置換え、サイズを縮小することにより、2024年2月期は約47tのプラスチックを削減しました。

蓄冷剤の導入

冷凍食品を輸送するコンテナには、品質を保持するためにドライアイスを同封しています。このドライアイスの使用量を減らすため、特殊な蓄冷剤を代用し、CO2を削減する試みを推進しています。蓄冷剤は再利用可能なサステナブルな取り組みです。2024年2月期は複数の物流拠点に蓄冷剤を導入しました。これにより、前年度(2023年2月期)実績から約108t-CO2のCO2排出量を削減しました。

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